30分をもらう、たった5行の依頼文

メールが書けなくて、止まっていないか

こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。

昨日は、なぜ人に会うと情報の質が変わるのかを見てきた。そして最後に、「会いたい人リスト」を10 人分つくってほしいとお願いした。

リストができたら、次は連絡だ。ところが、ここで止まる学生がとても多い。

「どう書けばいいかわからない」「失礼になっていないか不安」。この2つで、送信ボタンが押せなくなる。今日は、そこを丸ごと解決していく。文例も、そのまま使える形で載せておく。

Chapter 5 依頼で失敗する、よくある形

まず、うまくいかない依頼の共通点を見ておこう。ここを知っておくと、避けるべき形がはっきりする。悪気はないのに損をしている、という例がほとんどだ。

5-1 長すぎる文章は、読まれない

真面目な学生ほど、長いメールを書く。丁寧に書こうとするからだ。気持ちは、とてもよくわかる。

でも、受け取る側からすると、長い文章は読むのに気力がいる。しかも、社会人は移動中や休憩中にスマホで確認していることが多い。画面を何度もスクロールしないと終わらないメールは、「あとで読もう」と後回しにされる。そして、その「あとで」は、たいてい来ない。丁寧さと長さは、別のものだ。むしろ、短くまとめてあるほうが、相手を思いやっているとも言える。

依頼のメールは、スマホの画面1つに収まる長さにしてほしい。長さではなく、わかりやすさで丁寧さを示そう。書いた後に、削る作業を必ず入れる。削るほど、読まれやすくなる。三分の一は減らせるはずだ。

5-2 目的が、書いていない

2つ目の失敗は、何をしてほしいのかがわからない、というものだ。

「貴社に興味があります。いろいろ教えていただけると幸いです」。丁寧ではあるが、これでは相手が動けない。何を、どれくらい、いつしてほしいのかが書かれていないからだ。受け取った側は、「メールで答えればいいのか、会えばいいのか」と迷う。人は、迷うと返信を後回しにする。だから、目的は具体的に書く。「30分ほど、お話をうかがいたい」と書けば、相手は「できるか、できないか」だけ判断すればよくなる。

依頼するときは、「何を・どれくらい」を必ず入れてほしい。相手が判断しやすい形にするのが、いちばんの配慮になる。あいまいさは、親切ではない。はっきり書くほうが、かえって受け取りやすい。

5-3 相手の負担を、想像できていない

3つ目は、少し気づきにくい。相手にかかる手間を、こちらが増やしてしまっている形だ。

たとえば、「ご都合のよい日時をお知らせください」。一見ていねいだが、これは相手に日程を考えさせている。相手はカレンダーを開き、候補を探し、文章にする。この作業が、けっこう重い。逆に、こちらから候補を3つ出せば、相手は「この日で」と一言返すだけで済む。同じ依頼でも、相手の負担がまるでちがう。誰の手間を減らすかを考えるだけで、返信率は変わってくる。

「相手が返信するとき、何をするか」を想像してみてほしい。作業が少ないほど、返事は早く返ってくる。この想像ができる学生は、正直かなり少ない。だから、差がつく。しかも、これは社会に出てからも効く力だ。

5-4 「お時間のあるときに」は、永遠に来ない

4つ目は、遠慮から生まれる失敗だ。「お時間のあるときで構いません」という一文である。

配慮のつもりで書くのだが、これを受け取った相手は、優先順位を下げる。急がなくていい、と言われているからだ。そして、忙しい日々の中で、急がない用件は、そのまま埋もれていく。悪意はまったくない。仕組みの問題だ。だから、「〇月〇日ごろまでにご返信いただけると助かります」と、やわらかく期限を添える。押しつけではなく、目安として書けばいい。それだけで、扱いが変わる。

遠慮して期限をぼかさないでほしい。やわらかい言い方で、目安を一つ添える。それが、お互いのためになる。相手も、いつまでに返せばいいかがわかると助かる。期限は、押しつけではなく目安として書こう。

Chapter 6 依頼文の、型

では、実際にどう書けばいいのか。この章では、そのまま使える型を渡す。覚えることは五つだけだ。文例も載せるので、名前を入れ替えて使ってもらって構わない。

6-1 入れる要素は、5つだけ

依頼文に必要な要素は、5つある。これ以上でも、これ以下でもない。

1つ目は、自分が誰か。大学名、学部、氏名。2つ目は、どこで相手を知ったか。「ゼミの〇〇先生からご紹介いただき」「貴社の採用ページを拝見し」。3つ目は、何をしてほしいか。「30分ほど、お話をうかがえないでしょうか」。4つ目は、何を聞きたいか。「入社3年目のお仕事の実際について」。5つ目は、日程の候補と期限。この5つがそろっていれば、それで完成だ。あいさつ文を長々と書く必要はない。

依頼文を書く前に、この5つを箇条書きで並べてみてほしい。並べてから文にすると、迷わずに書ける。ゼロから文章を考えようとするから、手が止まるのだ。要素を並べてしまえば、あとは順につなぐだけになる。

6-2 そのまま使える、文例

型だけでは動きにくいと思うので、実際の文例を置いておく。

「〇〇大学〇〇学部3年の、〇〇と申します。貴社の採用ページを拝見し、ご連絡いたしました。若手の方が実際にどのようなお仕事をされているのか、直接うかがいたく思っております。もし可能でしたら、30分ほどお時間をいただけないでしょうか。日程は、9月15日(火)午後、17日(木)終日、18日(金)午前が可能です。ご都合が合わなければ、あらためて調整いたします。お忙しいところ恐れ入りますが、9月12日ごろまでにご返信いただけますと幸いです」。

この文例を、自分の情報に置きかえて使ってほしい。丸ごと真似して構わない。まず送ることが、いちばん大事だ。文章の出来より、送った回数が結果を決める。

6-3 件名で、半分決まる

意外に軽視されるのが、件名だ。でも、開いてもらえるかどうかは、ここでほぼ決まる。

社会人の受信箱には、一日に何十通も届く。その中で、件名だけを見て開くかどうかを判断している。だから、「はじめまして」や「お願い」では、埋もれてしまう。おすすめは、用件と身元を入れることだ。「【面談のお願い】〇〇大学 〇〇と申します」。これなら、開く前に中身の見当がつく。しかも、後から探すときにも見つけやすい。たった一行だが、効果ははっきりしている。

件名には、用件と大学名・氏名を入れてほしい。この一行を整えるだけで、読まれる確率が変わる。本文をどれだけ練っても、開かれなければ届かない。最後に、件名をもう一度見直そう。ここは、いちばん費用対効果が高い一行だ。

【H3】6-4 送る前の、三つの確認

書き終えたら、送信の前に3つだけ確かめてほしい。どれも30秒で終わる。

1つ目は、宛名の誤りがないか。社名や氏名の漢字は、必ず二度見る。ここを間違えると、他がどれだけ丁寧でも台無しになる。2つ目は、声に出して読んでみること。先月の連載でも書いたが、音読するとおかしな部分がすぐわかる。3つ目は、スマホで表示を確認すること。パソコンで書くと、スマホでは長く見えることがある。この3つを済ませたら、あとは送るだけだ。

送信前に、宛名・音読・スマホ表示の3つを確認してほしい。90秒で済む。この90秒が、印象を守ってくれる。急いで送って後悔するより、ずっといい。とくに宛名は、いちばん大事な確認箇所だ。相手の名前は、二度読む習慣をつけよう。

Chapter 7 日程調整と、当日までの準備

返事が来たら、次は日程調整だ。ここも、ちょっとした配慮で相手の負担が変わる。この章では、約束が決まってから当日までにやることを、順番に見ていこう。

7-1 候補は、こちらから3つ出す

先ほども触れたが、日程はこちらから候補を出す。これが、いちばん親切なやり方だ。

出し方にもコツがある。3つ以上、幅を持たせて出す。「15日(火)14時~18時」のように、時間帯で書くと、相手が選びやすい。日にちだけ、あるいは一点だけの指定は避ける。相手の予定と合わない確率が上がるからだ。そして最後に、「ご都合が合わなければ、あらためて調整いたします」と添える。この一文があると、相手は断りやすくなり、かえって話が進みやすい。

日程は、幅のある候補を三つ出してほしい。選ぶだけで済む形にすると、返事が早くなる。断りやすい一文を添えるのも、忘れないでおこう。相手に余裕があるほど、話は前に進む。断られたとしても、次につながりやすい。

7-2 場所は、相手に合わせる

日時が決まったら、場所を決める。ここは、基本的に相手に合わせるのがいい。

会社の近くのカフェ、あるいは会社の会議室。相手が移動しなくて済む場所を提案する。「ご指定いただければ、そちらへうかがいます」と書けば、それで十分だ。オンラインの場合も同じで、相手が使い慣れているツールに合わせる。こちらの都合で場所を決めると、それだけで負担をかけることになる。学生の側が動くほうが、時間の融通は利きやすい。だから、こちらが合わせる。

場所は、相手が動かなくて済むほうを選んでほしい。移動時間は、あなたが引き受ければいい。学生のほうが、時間の自由は利きやすいはずだ。少し遠くても、行く価値は十分にある。移動を惜しんで、機会を逃すほうがもったいない。

7-3 前日に、確認の一通

約束が決まってから当日まで、間が空くことがある。その場合、前日に短い確認を送っておく。

「明日〇時、〇〇にてお願いいたします。よろしくお願いいたします」。この2行でいい。目的は2つある。1つは、相手が予定を思い出せること。もう1つは、こちらの誠実さが伝わることだ。社会人は予定が多いので、忘れられていることもある。前日の1通は、それを防ぐ保険にもなる。しかも、手間は1分もかからない。やらない理由が見当たらない。

前日の夕方に、短い確認を1通送ってほしい。2行で十分だ。この1通が、当日の安心につながる。手間は1分。効果は、その何倍にもなる。前日の夜に、忘れず送っておこう。予定表にも、1行入れておくと確実だ。

7-4 当日の持ち物と、身なり

最後は、当日の準備だ。むずかしいことはない。3つだけ押さえておけばいい。

持ち物は、メモ帳とペン。スマホのメモでもいいが、紙のほうが「聞く気がある」と伝わりやすい。次に、質問リスト。明日扱うが、必ず用意していく。そして身なりは、清潔感があれば十分だ。先月の連載で書いたとおり、爪と靴を整えておけば、それでいい。スーツかどうかは、相手や場に合わせる。迷ったら、少しきちんとしたほうを選べば問題ない。

前日のうちに、メモ帳・質問リスト・服装の3つを準備してほしい。当日の朝に慌てないですむ。準備が整っていると、当日の落ち着きがちがってくる。それは、相手にも伝わる。持ち物は、玄関に置いておくと確実だ。朝の自分を、あまり信用しないほうがいい。

Chapter 8 断られたとき、返事がないとき

依頼をすれば、断られることもある。返事が来ないこともある。ここでどう振る舞うかが、じつは長い目で見ていちばん効いてくる。この章では、その対応を具体的にまとめておく。

8-1 断られたら、お礼を返す

断りの返信が来たとき、多くの学生は何も返さない。がっかりして、そのまま閉じてしまう。

でも、ここでお礼を返してほしい。「ご返信いただき、ありがとうございました。またの機会がありましたら、よろしくお願いいたします」。これだけでいい。断ったほうも、じつは少し気にしている。そこにお礼が返ってくると、印象がはっきり良くなる。しかも、時期が変われば、次は受けてもらえるかもしれない。断られた相手との関係を、そこで切ってしまうのは、もったいない。

断られても、必ず1通お礼を返してほしい。1分で終わる。その1分が、次の可能性を残してくれる。終わり方は、始まり方と同じくらい大事だ。丁寧に閉じた関係は、また開くことができる。

8-2 1週間待って、1度だけ再送

返事が来ない場合の対応は、先週も書いたが、もう一度具体的に示しておく。

まず、1週間待つ。この間は、何もしなくていい。1週間たっても返信がなければ、同じ相手に、短く1通だけ送る。「先日お送りしたご連絡について、あらためてご確認いただけますと幸いです。ご多忙でしたら、お気になさらないでください」。この最後の一文が大切だ。逃げ道を用意しておくと、相手も返信しやすくなる。再送は一度まで。それ以上は、控えたほうがいい。

返事がなければ、1週間後に一度だけ再送してほしい。逃げ道を添えるのを、忘れないでおこう。しつこいと思われないか、心配しすぎなくていい。一度の再送で嫌われることは、まずない。むしろ、丁寧に確認できる学生は、印象がいい。

8-3 「紹介」を、お願いしてみる

断られたときに、もう1つできることがある。別の人を紹介してもらえないか、聞いてみることだ。

「もしお差し支えなければ、他にお話をうかがえそうな方をご紹介いただけないでしょうか」。この一文を添える。断った相手は、少し申し訳なく思っていることが多い。だから、紹介という形なら応じてくれることが、けっこうある。しかも、紹介経由の依頼は、通る確率が格段に高い。断りが、次のつながりに変わる瞬間だ。聞かなければ、そこで終わってしまう。

断られたときこそ、紹介をお願いしてみてほしい。失うものは何もない。聞いた人だけが、次に進める。断りの返信が、次の出会いに変わることもある。一文添えるだけで、可能性は残せる。断られた瞬間こそ、次を用意する場面だ。

8-4 止まらずに、次の一人へ

最後に、いちばん大事なことを書いておく。断られても、返事が来なくても、止まらないことだ。

1件目でつまずくと、「自分には向いていない」と感じてしまう。でも、先週も書いたとおり、これは数の問題である。5件出して2件返ってくれば十分だ。だから、断られた日のうちに、次の1人へ送る。この切り替えの速さが、半年後の差になる。落ちこむ時間を短くするコツは、次の行動を早く起こすことだ。動いていると、気持ちも自然と切り替わる。

断られた日のうちに、次の1通を送ってほしい。落ちこむより、動くほうが早く回復する。手を動かしているうちに、気持ちは追いついてくる。止まった時間が、いちばんもったいない。次の1通は、今日のうちに送ろう。

今日のまとめ

依頼で失敗する形は、4つある。長すぎる文章。目的が書いていない。相手の負担を増やしている。そして「お時間のあるときに」と、期限をぼかしてしまうこと。どれも悪気はないのに、損をしている形だ。

依頼文に必要な要素は、五つだけ。自分が誰か、どこで知ったか、何をしてほしいか、何を聞きたいか、日程の候補と期限。スマホの画面一つに収まる長さで十分だ。文例は、そのまま使ってほしい。

件名には、用件と大学名・氏名を入れる。送信前には、宛名・音読・スマホ表示の3つを確認する。90秒で済む作業だ。

日程は、幅のある候補を3つ出す。場所は相手が動かなくて済むほうを選ぶ。前日には、2行の確認を送っておく。当日の持ち物は、メモ帳・質問リスト・清潔感のある身なりの3つだ。

断られたら、必ずお礼を返す。返事がなければ、1週間後に一度だけ再送する。そして、断られたときこそ紹介をお願いしてみる。断りが、次のつながりに変わることがある。

いちばん大事なのは、止まらないことだ。断られた日のうちに、次の1通を送ってほしい。

明日は、この連載の最終回。実際に会ってから何を聞くか、どう振る舞うか、そして持ち帰った話をどう整理するかを扱う。聞くべき5つの問いも紹介する。

送った人にしか、機会は来ないと、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。

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