ホームページを読んでも、答えは出ない
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。
先週の3日間では、「外に出て、確かめる」ことの意味を扱った。情報には種類があること。一歩は小さく出すこと。そして、行った先で何を持ち帰るか。
半歩は、出せただろうか。まだの人も、焦らなくていい。今週から、もう少し具体的な話に入っていく。
今週のテーマは、「社会人に、会いに行く」だ。外に出るといっても、いちばん効くのは人に会うことである。なぜ会うと情報の質が変わるのか。今日は、そこから見ていく。
Chapter 1 ネットの情報が、届かない場所
企業のホームページも、採用サイトも、よくできている。読めば、たくさんのことがわかる。それでも、判断ができない。この章では、公開情報がどこで止まるのかを、はっきりさせておこう。
1-1 公開情報は、「全員向け」につくられている
企業のホームページを読んでいて、こう感じたことはないだろうか。「知りたいことが、書いていない」。
これは、当たり前のことだ。公開情報は、全員に向けてつくられているからである。学生も、取引先も、株主も、就職を考えていない人も読む。だから、どの立場の人が読んでも問題のない書き方になる。角の取れた、ならされた表現になるのは、必然なのだ。誰にとっても60点の情報は、あなたにとっての100点にはならない。先週書いた「平均値」の話と、同じ構造がここにもある。
ホームページに答えが書いていなくても、落胆しないでほしい。もともと、あなた一人のために書かれたものではない。読み込みが足りないのではなく、そこには載っていないだけだ。
1-2 「よくある質問」に、あなたの質問はない
採用サイトには、たいてい「よくある質問」がある。丁寧に答えが並んでいて、親切だ。
でも、そこにあるのは、多くの人が聞く質問だけである。あなたが本当に気になっていることは、たいてい載っていない。「入社3年目で、どこまで任されるのか」「上司に反対意見を言える空気があるのか」「若手が辞めるとしたら、理由は何か」。こうした質問は、公開の場では答えにくい。だから書かれない。でも、あなたの判断に必要なのは、まさにこういう部分だ。だから、直接聞くしかない。
自分が本当に知りたいことを、3つ書き出してみてほしい。それが公開情報にないなら、人に会う理由が、はっきりする。そして、その3つが、そのまま質問リストになる。
1-3 数年後の自分が、想像できない
もう1つ、公開情報では埋まらない部分がある。「そこで働く自分」の姿だ。
事業内容も、制度も、数字も読んだ。それでも、自分がその会社で働いている姿が浮かばない。この状態で決めるのは、かなり危うい。想像するには、モデルが必要だからだ。20代の社員が、どんな1日を送り、何に手ごたえを感じ、何に困っているか。それを知って初めて、「自分だったら」が考えられるようになる。そして、この情報は、人からしか手に入らない。
「その会社で働く自分」が想像できるか、確かめてほしい。浮かばないなら、材料が足りていない。会いに行く合図だ。想像力の問題ではなく、情報の問題である。足りないものが何かわかれば、対処もできる。会いに行けば、埋まる部分だ。
1-4 一次情報の中でも、人がいちばん濃い
先週、一次情報の大切さを書いた。じつは、その一次情報にも濃さの差がある。
説明会に出るのも、一次情報だ。会社の前を通ってみるのも、一次情報になる。でも、いちばん濃いのは、人に直接会って話を聞くことである。理由は単純で、双方向だからだ。こちらの疑問に合わせて、答えが返ってくる。しかも、その場でさらに掘り下げられる。一方通行の情報とは、得られる量がまるでちがう。時間はかかるが、効率はいちばん高い。だから、優先して取り組む価値がある。
限られた時間を使うなら、「人に会う」を優先してほしい。同じ1時間でも、持ち帰る量がちがってくる。調べる時間を少し削って、会う時間に回すだけでいい。配分を変えるだけで、進み方が変わる。

Chapter 2 会うと、手に入る3つのもの
では、直接会うと具体的に何が手に入るのか。ここがはっきりしないと、動く気にはなれない。この章では、3つに整理して紹介する。どれも、画面の前では手に入らないものだ。
2-1 1つ目、文字にならない実感
1つ目は、先週も触れた「文字にならないもの」だ。会って話すと、言葉以外の情報が大量に入ってくる。
たとえば、「今の仕事は面白いですか」と聞いたとする。返ってきた「面白いですよ」という言葉が同じでも、即答した人と、少し考えてから答えた人では、受け取る印象がまったくちがう。目の輝き方、話す速さ、身を乗り出すかどうか。こうした情報は、記事にもサイトにも載らない。でも、あなたの判断には、たしかに効いてくる。しかも、こういう実感は、後になっても記憶に残りやすい。
相手の言葉だけでなく、答え方も観察してほしい。先週の「人・場・自分」の型が、そのまま使える。会話の場でも、見るものは変わらない。むしろ、距離が近いぶん、よく見える。
2-2 2つ目、自分に合わせた答え
2つ目は、あなた個人に向けた答えが返ってくることだ。これが、いちばん大きい。
公開情報は全員向けだが、会話は一人向けである。「私は人と話すのが好きなのですが、そういう場面はありますか」と聞けば、あなたの前提に合わせた答えが返ってくる。しかも、答えを聞いて、さらに聞き返せる。「それは、どれくらいの頻度でありますか」。この往復ができるのが、会うことの本質だ。同じ30分でも、一方通行の説明会とは、得られる密度がまるでちがう。
聞きたいことを、自分の状況とセットで質問してほしい。「私は〇〇なのですが」を足すだけで、答えが自分向けになる。一言足すだけで、返ってくるものが変わる。遠慮して省略すると、一般論が返ってきてしまう。
2-3 3つ目、その人とのつながり
3つ目は、情報そのものではない。人とのつながりが残る、ということだ。
一度きちんと話した相手は、その後も相談に乗ってくれることが多い。「あのとき話した学生さんですね」と覚えていてくれる。そして、別の人を紹介してもらえることもある。先週も書いたが、縁は連鎖する。会った人が2人目を呼び、2人目が3人目を呼ぶ。しかも、このつながりは、就活が終わった後も残る。情報は使えば減るが、人とのつながりは、使うほど太くなる。
会った相手とは、細くていいので関係を続けてほしい。年に一度、近況を報告するだけでいい。それで、縁は保てる。切れてしまうと、つなぎ直すのは難しくなる。細くても、つながっていることが大事だ。数年後に、思わぬ形で助けになる。
2-4 会わないと、比べる基準も育たない
もう1つ、見落とされがちな効果がある。人に会うほど、比べる目が育つということだ。
一人にしか会っていないと、その人の話が「社会人の標準」に見えてしまう。でも、3人に会うと、共通点とちがいが見えてくる。「この業界の人は、みんなこう言うな」「この人だけ、ちがうことを言っている」。この比較ができると、判断の精度が一気に上がる。しかも、比べる基準は、あなたの中にしか育たない。人から教わることはできない。会った回数が、そのまま基準の細かさになる。
一人で判断せず、最低でも3人には会ってほしい。3人目から、見え方が変わってくる。数が、目を育てる。1人目だけで決めてしまうのが、いちばん危うい。3人そろって、ようやく比べられる。
Chapter 3 「迷惑では」という思いこみ
会いに行けない理由で、いちばん多いのがこれだ。「忙しい社会人の時間を、もらってしまっていいのだろうか」。この章では、その思いこみを、正面から解きほぐしておきたい。
3-1 社会人は、じつは話したがっている
まず、事実を1つ書いておく。多くの社会人は、学生に自分の仕事の話をするのが、けっこう好きだ。
理由はいくつかある。自分の仕事について、まとまった時間で話す機会は、意外と少ない。日々の業務では、そんな余裕がないからだ。だから、真剣に聞いてくれる相手がいると、うれしくなる。しかも、話すことで自分の考えも整理される。つまり、相手にとっても得るものがある。一方的にもらうだけの関係ではない。ここを誤解している学生が、とても多い。
「時間をもらう」ではなく、「お互いに得るものがある」と捉えてほしい。この捉え方に変えるだけで、依頼しやすくなる。実際、話し終えた後の相手は、たいてい機嫌がいい。そういう場面を、私も何度も見てきた。
3-2 頼られることは、うれしい
もう1つ、覚えておいてほしい人間の性質がある。人は、頼られると、うれしいものだ。
自分が若いころに助けてもらった人ほど、次の世代に返したいと思っている。私自身も、そうだ。若いころ、いろいろな方に時間をいただいた。だから今、学生から相談されると、断る理由がない。この「返したい」という気持ちは、社会人の中に、思っている以上に広く存在する。あなたの依頼は、その気持ちを受け取る機会にもなっている。だから、遠慮しすぎる必要はない。
頼ることを、悪いことだと思わないでほしい。頼られてうれしい人が、あなたの近くにも必ずいる。そして、いつかあなたが返す側になればいい。それで、うまく回っていく。世代を超えて、そうやって続いてきたものだ。
3-3 断る自由は、相手にある
それでも気が引ける、という人に、もう1つの考え方を渡しておきたい。断るかどうかは、相手が決める、ということだ。
あなたが依頼するのは、選択肢を差し出す行為にすぎない。受けるか断るかは、相手の自由だ。忙しければ断ればいいし、実際そうする人もいる。それは、まったく問題のないやりとりである。逆に、こちらが勝手に「迷惑だろう」と判断して依頼しないのは、相手から選ぶ機会を奪っていることにもなる。少し極端な言い方だが、そういう面もある。判断は、相手に委ねればいい。
「迷惑かどうか」を、自分で決めないでほしい。それは相手の領分だ。あなたは、ていねいに聞くだけでいい。断られたら、そのときに引けばいい。聞く前から引いてしまうのが、いちばんもったいない。
3-4 遠慮が、機会をいちばん減らしている
ここまで書いてきたことを、まとめておく。学生の機会をいちばん減らしているのは、能力でも運でもない。遠慮だ。
「忙しそうだから」「迷惑だろうから」「自分なんかが」。この3つで、動くのをやめてしまう学生を、私は毎年たくさん見ている。そして、彼らは決まって、後になって「もっと聞いておけばよかった」と言う。遠慮は、美徳のように見えて、機会を確実に減らす。しかも、減った分は、目に見えない。だから、損をしていることにも気づきにくい。ここが、いちばんもったいないところだ。
遠慮したくなったら、いったん止まってほしい。それは配慮ではなく、こわさかもしれない。先週書いた「後づけの理由」と、同じ形をしている。見分けがついたら、そこから動ける。

Chapter 4 誰に、会いに行くか
会う理由がはっきりしたら、次は相手を決める番だ。ここで選び方を間違えると、せっかくの機会が生きない。この章では、誰から順に会えばいいかを、具体的に見ていこう。
4-1 まず、近い人から順に
会う相手は、近い順に広げていくのがいい。いきなり遠くから始めると、たいてい続かない。
近い順とは、こういうことだ。まず、バイト先の社員さんや、大学の職員の方。次に、ゼミやサークルの卒業生。その次に、大学のキャリアセンターに紹介してもらえるOB・OG。そして最後に、面識のない企業へ直接連絡する。近い人ほど断られにくく、こちらも緊張しない。しかも、話す練習になるので、遠い相手に会うころには、ずいぶん上手になっている。順番が、そのまま準備になる。
いきなり遠くを狙わず、いちばん近い人から始めてほしい。順に広げるほうが、結局は早く遠くまで届く。近い人との一回が、次の紹介につながることも多い。最初の一人は、思っているより近くにいる。
4-2 「憧れの人」より「3年目の人」
会いたい相手を考えるとき、多くの学生が有名な人や役職の高い人を思いうかべる。気持ちはわかるが、優先順位としては、少しちがう。
いちばん役に立つのは、入社3年目くらいの人だ。理由は2つある。1つは、学生時代の記憶がまだ新しく、あなたの状況を具体的に思い出せること。もう1つは、日々の仕事の実態を、いちばん生々しく語れることだ。役員の話は視野が広くて面白いが、「明日の自分」の参考にはなりにくい。数年後の自分を想像するなら、数年先を歩いている人が、いちばんいい鏡になる。
会いたい人を選ぶときは、「3年目くらいの人」を意識してほしい。いちばん近い未来を、見せてくれる相手だ。もちろん、役員の話を聞く機会があれば、それも大切にしよう。
4-3 同じ会社で、二人に会う
もう1つ、精度を上げる方法がある。同じ会社の中で、2人に会うことだ。
一人だけだと、その人の個性なのか、会社の文化なのかが判別できない。「風通しがいいですよ」と言われても、その人が話しやすい性格なだけかもしれない。でも、2人目にも同じ印象を受ければ、それは会社の特徴である可能性が高い。逆に、2人の話がずれていれば、部署や立場で環境がちがうということだ。それも、大事な情報になる。2人目に会うだけで、情報の確からしさが、はっきり上がる。
気になる会社があれば、2人に会ってみてほしい。同じ質問を、両方にすると、ちがいがよく見える。2人目に会うと、1人目の話の意味も、はっきりしてくる。手間はかかるが、確実に効く。
4-4 会いたい人リストを、10人つくる
最後は、今日からできるワークだ。「会いたい人リスト」を、10人分つくってほしい。
紙に、思いつく人の名前を書いていく。実際に会えるかどうかは、いっさい考えない。バイト先の店長。ゼミの先輩。父親の同僚。高校の恩師。気になる会社の採用担当者。名前がわからなければ、「〇〇社の若手社員」でもいい。10人並べると、自分がどんな人に会いたいと思っているかが見えてくる。そして、リストがあると、動くときに迷わなくなる。目の前に、行き先が並んでいるからだ。
今日、10人のリストをつくってほしい。埋まらなければ、5人でもいい。書いた瞬間から、次の一歩が具体的になる。名前が並ぶと、動きたくなってくる。まずは、書き出すことから始めよう。
今日のまとめ
企業のホームページを読んでも判断できないのは、あなたの読み方が悪いからではない。公開情報は「全員向け」につくられていて、あなた一人のために書かれていないからだ。
「よくある質問」には、あなたの質問は載っていない。入社3年目でどこまで任されるのか。反対意見を言える空気があるのか。判断に必要な部分ほど、公開の場では答えにくい。だから、直接聞くしかない。
会うと、3つのものが手に入る。文字にならない実感。自分に合わせた答え。そして、その人とのつながりだ。しかも、人に会うほど、比べる基準が育っていく。3人目から、見え方が変わってくる。
「迷惑では」という遠慮は、いったん外してほしい。多くの社会人は、学生に仕事の話をするのが好きだし、頼られることをうれしいと感じる。断る自由は相手にある。だから、判断は相手に委ねればいい。
会う順番は、近い人から。そして、狙うのは「入社3年目くらいの人」だ。いちばん近い未来を見せてくれる。気になる会社なら、2人に会うと精度が上がる。
今日のワークは、「会いたい人リスト」を10人分つくること。実際に会えるかどうかは、考えなくていい。
明日は、その先を扱う。どうやって約束を取るのか。依頼文の書き方、日程の決め方、そして断られたときの対応まで、実務的な話になる。使える文例も紹介する。
会いに行った人だけが、本当の情報を手にできると、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。