就活の前に、あなたの「人生観」を深掘りする
27年卒の皆さん、こんにちは。
いよいよ就職活動が本格的に始まろうとしている今、皆さんはどんな気持ちでいるでしょうか?
「将来やりたいことが見つからない」「どんな会社を選べばいいんだろう」「そもそも、何のために働くんだろう?」
そうした問いが頭の中をぐるぐる巡って、漠然とした不安を抱えているかもしれません。でも、安心してください。そうした問いは、決して皆さんだけのものではありません。むしろ、これは、自分の人生と真剣に向き合う、とても大切な第一歩なのです。
この連載では、「人生観」「仕事観」「他者との関係性観」という3つの価値観を深掘りし、あなたの就職活動を成功に導くための羅針盤を手に入れるお手伝いをします。第1回となる今日は、すべての土台となる「人生観」について、一緒に考えていきましょう。
1. 就活で問われる「人生観」の正体
多くの企業が採用面接で「あなたの将来の夢は?」や「当社で何を成し遂げたいですか?」と尋ねます。これらの質問は、単に皆さんの意欲を知りたいだけではありません。その根底には、皆さんがどのような人生を歩んでいきたいのか、という「人生観」を読み解こうとする意図が隠されています。
1.1. 「成功」や「幸せ」の定義は人それぞれ
社会には「良い会社に入って出世することが成功だ」「お金をたくさん稼ぐことが幸せだ」といった、画一的な価値観があふれています。しかし、本当にそうでしょうか?自分の価値観に合わない生き方を選んでしまうと、たとえ他人から見て「成功」していても、心の中には満たされない思いが残ってしまいます。就職活動を始める前に、まずは自分にとっての「幸せ」や「成功」の定義を明確にすることが重要です。
1.2. 企業が人生観を知りたい理由
では、なぜ企業は皆さんの人生観を知りたいのでしょうか?それは、皆さんの人生観と、その企業が持つビジョンや価値観が一致しているかを見極めるためです。ドラッカーは「目標がなければ、何者でもない」と述べました。明確な人生観を持つ学生は、入社後に困難に直面しても、自らの意志で乗り越えることができると企業は期待します。
1.3. 就活の軸になる「人生の羅針盤」
人生観は、就職活動における皆さんのブレない「軸」となります。「なぜこの会社を選んだのか」「入社後に何をしたいのか」といった問いに答える際、この軸がしっかりしていれば、面接官に説得力を持って自分の考えを伝えることができます。この軸は、就職活動だけでなく、その後のキャリア形成においても、皆さんの進むべき道を照らしてくれる羅針盤となるでしょう。
2. 漠然とした不安を解消する「価値観ワード」の探し方
「人生観を深掘りする」と言われても、何から手をつけていいか分からないかもしれません。そこで、心理学の分野でよく用いられる手法を応用して、皆さんの心の中に眠る価値観を「言葉」として引き出していきましょう。
2.1. 過去の経験から「心が動いた瞬間」を振り返る
まずは、これまでの人生で、特に「心が動いた」瞬間をいくつか思い出してみてください。それは、どんなに些細なことでも構いません。
・ボランティア活動で人の役に立てた時
・友達と協力して困難を乗り越えた時
・一つのことに没頭してスキルを習得した時
・誰かに「ありがとう」と感謝された時
・自由に旅をして、新しい世界を見た時
こうした瞬間を振り返ることで、皆さんが「何に喜びを感じるのか」「何にやりがいを感じるのか」といった、心の奥底にある価値観が見えてきます。
2.2. 尊敬する人物から「価値観」を読み解く
次に、皆さんが「この人みたいになりたい」と思う人物を思い浮かべてみましょう。それは、歴史上の偉人でも、身近な家族や友人でも、有名人でも構いません。その人物のどんな点に惹かれますか?「常に新しいことに挑戦している」「誰にでも優しく接する」「自分の信念を貫いている」など、その人物の特徴を言葉にしてみましょう。皆さんがその人物に惹かれる理由にこそ、あなたの「潜在的な価値観」が隠されています。
2.3. ネガティブな感情からもヒントを得る
「なぜかイライラする」「どうしても納得できない」といったネガティブな感情も、皆さんの価値観を映し出す鏡です。例えば、「頑張っているのに評価されない」ことに腹が立つなら、「正当な評価」や「公平性」を重視している可能性があります。「ルールに縛られるのが嫌だ」と感じるなら、「自由」や「自律」を求めているのかもしれません。自分の感情を客観的に見つめ直すことで、自分でも気づいていなかった本音の価値観が見つかることがあります。
3. ワーク:自分の人生で大切な「価値観ワード」を5つ見つける
さあ、これまで見つけたヒントを活かして、実際にワークに取り組んでみましょう。
3.1. 価値観ワードを書き出す
以下のリストや、自分で思いついた言葉の中から、あなたの人生で最も大切にしたい「価値観ワード」を5つ選んで書き出してください。
成長 / 安定 / 貢献 / 挑戦 / 自由 / 創造 / 達成 / 承認 / 信頼 / 協調 / 感謝 / 楽しさ / 健康 / 家族 / 尊敬 / 公平性 / 責任 / 誠実 / 探求心 / 影響力
3.2. 価値観ワードに「なぜ?」を問う
選んだ5つのワードに対して、「なぜ、それが大切だと思うのか?」と問いかけてみましょう。たとえば、「貢献」を選んだのであれば、「なぜ、人の役に立ちたいと思うのか?」と自問自答してください。この「なぜ」を繰り返すことで、あなたの価値観の根拠が明確になります。これは、就職活動で面接官に「なぜ?」と聞かれたときに、自信を持って答えられるようになるための重要な訓練です。

4. まとめ:答えは常に、あなたの心の中にある
今日の記事では、就職活動の羅針盤となる「人生観」の重要性と、それを深掘りする具体的な方法を解説しました。
4.1. 漠然とした不安を「言語化」する
多くの就活の不安は、自分の内面が「言語化」されていないことから生まれます。今回のワークを通じて、自分の心の中にある漠然とした思いを言葉にすることで、不安は「解決すべき課題」へと姿を変え、あなたは次の行動へと踏み出せるようになります。
2.2. 自分の人生を「創る」第一歩
ピーター・ドラッカーは「未来を予測する最善の方法は、それを創り出すことである」と言いました。今回のワークは、誰かに与えられた未来ではなく、あなた自身の人生観に基づいて、あなただけの未来を創り出すための第一歩です。
皆さんが、このワークを通じて自分自身を深く知り、自信を持って就職活動に臨めることを心から願っています。