就活で最も大事なことは自己分析という情報は、ほとんどの就活生が知っているものです。ですので、四の五の言わずに今ここから取り組みなさい、と冗談抜きに話すようにしています。今回はその真意を少しお伝えできればと思います。
自己を知り理解を深めることで、次のステップの業界・企業研究をスムーズに進めすことができるのです。逆に自己分析をサラッと流してしまうと、自身の中活における軸が不明確となり、ESや面接での自己PRや志望動機に一貫性は薄れ、そのエビデンスも乏しいことになってしまうものです。
就活は大学入試のような目安や基準がないので、「どこまでやればよいのか?」「何が正解なのか?」「自分らしい内容になっているのか?」といった考えや思いに悩む学生が少なくないようです。ですが、このような誰もわからない問いに悩むことはないと思うのです。むしろ就活の本質を捉えた、「自分の武器となる強みは何か?」「自分の強みが発揮できる職種や環境はどういうものか?」「自分が二度とない人生でやり遂げたいことは何か?」といった問いに真摯に向き合い悩むことが大事なことなのです。
現在の就活では、いくつかの企業から内定を得て、最終的に就職先として1社を選択するプロセスが一般的です。内定を得た数社から、二度とない人生を自分らしく豊かに充実した生活を営むために1社を選択するにも、自分が納得できる選択基準を持っていることが必要なのです。そして、自分が納得できる選択基準を確立するためには、自己分析の深化が必須要件となるのです。
自己分析を深めるためには、自分を客観的に見つめる(内的自己認識)が大切であることは言うまでもなく、加えてあなたをよく知る人があなたをどう見ているか(外的自己認識)を理解することも大切なことなのです。
これまで20余年の人生経験の中で、このような機会を持つことがなかった学生にとっては「わからない」といった思いが時々刻々と重く伸し掛かかりことが悩みの根源ではないかと思うのです。
自己分析では、自分を客観的に見つめることが大切だとお伝えしました。ここで特に注意が必要なことが、「思い込み」を信じ込んでしまうことです。だからこそ、内的自己認識と並行して、あなたをよく知る周りの人からの情報(フィードバック)を得ることが大切になるのです。例えば、「自分の強みが活かせそうな仕事はどんなものだと思う?」「自分らしさを発揮できる職種や環境はどんなものだと思う?」などと尋ねてみると良いでしょう。時には耳に痛い言葉を聞くことになるかもしれませんが、そういう時こそ、事実を正直に伝えてくれたことに感謝を伝え、あなた自身の人格を育てる機会にすることも忘れないようしましょう。
就活を自分事と捉えた学生に一読を薦めているのが「イノベーション・オブ・ライフ(翔泳社)」です。著者であるクレイトン・クリステンセン教授のハーバード・ビジネス・スクールでの最終講義をまとめた本です。幸せに充実した人生を送る方法を経営的見地から語られています。「人生を評価する自分なりのモノサシを持ちなさい」と説いています。自分の中にモノサシを確立して、それに基づいて人生を生きることの大切さを享受できた、個人的に感銘した一冊でもあります。モノサシ、すなわち自分の行動の基軸を自分に持つことは、就活という一時のためだけではなく、100年時代の人生における不易流行の教養を身に養うことだと思います。